新盆提灯とは?なぜ白い提灯を飾るの?
新盆提灯には、どんな意味があるのでしょう?
こんにちは。
お盆が近づくと、仏具店には新盆を迎えるお客様がたくさんいらっしゃいます。
その中で、よくいただくご質問があります。
「新盆には、なぜ白い提灯を飾るのですか?」
「普通のお盆提灯と何が違うのですか?」
「白い提灯は、どこに飾ればいいのでしょう?」
そして、お子さんやお孫さんから、
「どうして提灯を飾るの?」
と聞かれ、答えに困ったというお話を伺うこともあります。
新盆は、大切な方が亡くなってから初めて迎える特別なお盆です。
だからこそ、分からないことがあるのは当然です。
今回は、新盆で用いられる「新盆提灯」について、仏具店の店員がお客様にお話しするように、できるだけやさしくご説明します。
そして、提灯の飾り方だけではなく、
「そもそも、なぜお盆に亡くなった人をお迎えするのか」
「亡くなった人と、今を生きている私たちはどのようにつながっているのか」
という、お盆で一番大切にしたい「心」についても考えてみたいと思います。
新盆(初盆)とは?
新盆とは、一般的に、故人が亡くなり、四十九日の忌明けを過ぎてから初めて迎えるお盆のことです。
「初盆(はつぼん・ういぼん)」とも呼ばれ、地域によって「新盆」を「にいぼん」「あらぼん」などと呼ぶこともあります。
初めてのお盆ですから、通常のお盆よりも丁寧に供養し、親族などが集まって故人を偲ぶ地域やご家庭もあります。
たとえば、去年の夏には一緒にいたおじいちゃん。
一緒にスイカを食べたかもしれません。
テレビで高校野球を見ていたかもしれません。
孫と一緒に花火をしたかもしれません。
でも、今年はその姿がありません。
そんな夏に迎えるのが、新盆です。
寂しい気持ちもあるでしょう。
「本当にいなくなってしまったんだな」と改めて感じることもあるでしょう。
その一方で、お盆は故人に対して、
「おかえりなさい」
と伝える時間でもあります。
その「おかえりなさい」の気持ちを形にしたものの一つが、新盆提灯なのです。
新盆提灯とは?
新盆提灯とは、故人が初めて迎えるお盆に用意する特別な提灯です。
新盆では、一般的に白い提灯を使用します。
この白い提灯は「白紋天(しろもんてん)」などと呼ばれています。
通常のお盆提灯には、美しい花や草木などの絵柄が描かれたものが多くあります。
それに対して、新盆で使う提灯は白を基調としています。
そして、基本的には新盆の一度だけ使用する特別な提灯とされています。
なぜ新盆には白い提灯を飾るの?
では、なぜ新盆では白い提灯を飾るのでしょうか。
昔から、お盆になるとご先祖さまや亡くなった大切な人が私たちのところへ帰ってくる、と考えられてきました。
そのとき、
「迷わず、この家まで帰ってきてくださいね」
という願いを込めて灯すのがお盆提灯です。
中でも新盆は、故人にとって初めて迎えるお盆です。
そこで白い提灯を、
「初めて帰ってくる故人のための目印」
として灯す風習があります。
小学生のお子さんに説明するなら、
「亡くなったおじいちゃんやおばあちゃんが、初めてお家に帰ってくるときに迷わないようにつける、目印のあかりだよ」
と伝えると分かりやすいでしょう。
新盆提灯は「はじめてのおかえり」のあかり
夜、家族の帰りが遅くなったとき、玄関の灯りをつけて待った経験はないでしょうか。
暗い道を帰ってきたとき、自分の家に灯りがついている。
それを見ると、なんとなく安心します。
「あそこが自分の家だ」
「待ってくれている人がいる」
そう感じるからではないでしょうか。
新盆提灯も、それとよく似ています。
提灯を灯して、
「ここですよ」
「あなたのお家ですよ」
「みんな待っていますよ」
と、故人をお迎えします。
ですから新盆提灯は、単なる夏の飾りではありません。
そこには、
「おかえりなさい」
という家族の気持ちが込められているのです。
新盆提灯と普通のお盆提灯の違い
「白い新盆提灯と、絵柄の入った盆提灯は何が違うのですか?」
これも仏具店でよくいただくご質問です。
簡単に分けると、
新盆の白提灯は「初めて帰ってくる故人のための特別な提灯」
そして、
通常の盆提灯は「毎年のお盆にご先祖さまや故人をお迎えするための提灯」
と考えると分かりやすいでしょう。
新盆の白提灯を、
「はじめてのおかえり」
とすれば、翌年からの盆提灯は、
「今年もおかえり」
というあかりです。
どちらも根本にあるのは、
「大切な人をお迎えしたい」
という家族の気持ちです。
新盆提灯はいつから飾る?
盆提灯を飾る時期については、地域によって異なります。
一般的には、お盆を迎える少し前から準備を始め、お盆の期間に合わせて飾ります。
7月にお盆を行う地域もあれば、8月に行う地域もあります。
そのため、
「全国どこでも、この日からこの日まで」
と決まっているわけではありません。
特に初めて新盆を迎える場合には、地域の風習が分からないことも多いでしょう。
その場合は、菩提寺や地域の仏具店に確認すると安心です。
新盆提灯はどこに飾る?
昔ながらの風習では、新盆の白提灯を玄関先や軒先などに吊るすことがあります。
故人が帰ってくるための「目印」という意味を考えると、とても分かりやすいですね。
ただし、現在では住宅事情も大きく変わりました。
マンションに住んでいる方もいますし、玄関の外に提灯を吊るすことが難しい住宅もあります。
そのような場合には、室内やお仏壇の近くなどに飾ることもあります。
大切なのは、
「必ずここでなければいけない」
ということだけではありません。
「大切な人をお迎えしよう」
という気持ちを込めて、ご家庭に合った場所に飾ることも大切です。
ただし、地域や宗派によって風習が異なる場合がありますので、心配な場合はお寺や地域の仏具店へ相談しましょう。
新盆提灯は誰が用意するもの?
昔は、親族などから盆提灯を贈る習慣がある地域も多くありました。
現在でもその習慣が残っている地域があります。
一方で、現在は故人のご家族が白提灯を用意するケースも増えています。
そのため、
「必ずこの人が用意しなければいけない」
という全国共通の決まりがあるわけではありません。
ご家族や親戚と相談しながら準備するとよいでしょう。
また、親戚から「新盆に何か贈りたい」と言われた場合には、白提灯とは別に、絵柄の入った盆提灯を贈っていただくという方法もあります。
ご家庭の事情や地域の風習に合わせて選ぶことが大切です。
新盆提灯を選ぶときのポイント
新盆提灯を購入するときには、まず「どこに飾るのか」を考えてみましょう。
昔ながらの吊り下げ式が適しているご家庭もあれば、置くタイプのほうが使いやすいご家庭もあります。
特に現在は、
「マンションなので大きな提灯は置けない」
「仏壇の周りにあまりスペースがない」
「火を使うのが心配」
というご相談も多くなっています。
そのため、提灯を選ぶ際には、
・飾る場所
・提灯の大きさ
・吊り下げ式か置き型か
・電池式や電気式など灯りの種類
・収納のしやすさ
などを確認するとよいでしょう。
「昔と同じ形でなければいけない」と考える必要はありません。
現在の住まいの中で無理なく飾り、家族が安心して故人をお迎えできるものを選ぶことが大切です。
新盆が終わったら白提灯はどうする?
新盆の白提灯は、一般的には一度きりのものとされています。
昔は、お盆が終わると送り火で燃やしたり、お寺でお焚き上げをお願いしたりする地域もありました。
ただし、現在は住宅事情や消防上の問題もあります。
特に住宅地やマンションなどでは、ご家庭で燃やすことは避けたほうがよいでしょう。
お寺でお焚き上げをお願いできる場合もありますし、地域のルールに従って処分する場合もあります。
購入した仏具店で相談できることもありますので、分からない場合には確認してみてください。
ここからは、子どもたちにも伝えたい「お盆のお話」です
ここまでは、新盆提灯について実際の準備を中心にお話ししてきました。
でも、せっかくのお盆です。
「どの提灯を買えばいいの?」
「どこに飾るの?」
ということだけではなく、
なぜ私たちは毎年お盆をするのか
ということも、家族で少し考えてみませんか。
お盆って、そもそも何をするの?
お盆は、ご先祖さまや亡くなった大切な人をお迎えし、供養する日本の大切な行事です。
お墓参りをします。
お仏壇をきれいにします。
お花を飾ります。
食べ物をお供えします。
提灯を灯します。
地域によっては、きゅうりの馬となすの牛を作ります。
きゅうりの馬には、
「馬に乗って、早く帰ってきてくださいね」
という気持ちを込めます。
なすの牛には、
「帰りは牛に乗って、ゆっくり帰ってくださいね」
という気持ちを込めるといわれています。
どれも違うように見えますが、そこにある気持ちはよく似ています。
それは、
「大切な人に、また会いたい」
という気持ちです。
「死んだら、もういなくなるの?」
子どもから、
「死んだら、もういなくなっちゃうの?」
と聞かれることがあります。
これは、大人にとっても難しい質問です。
宗教や宗派によって死後についての考え方は異なります。
ですから、簡単に一つの答えを決めることはできません。
でも、子どもたちにはこんなお話をしてみてはいかがでしょう。
「姿は見えなくなっても、その人からもらったものは残っているんだよ」
たとえば、おばあちゃんが作ってくれた煮物。
その作り方をお母さんが教えてもらっていたとします。
おばあちゃんが亡くなった後、お母さんが同じ煮物を作ります。
そして子どもが食べます。
「これは、おばあちゃんに教えてもらった料理なんだよ」
とお母さんが言います。
すると、おばあちゃんの姿は見えなくても、おばあちゃんが家族に残してくれたものは、今もそこにあります。
やさしさも受け継がれていく
受け継がれるものは、料理や物だけではありません。
おじいちゃんに手をつないでもらったこと。
おばあちゃんに絵本を読んでもらったこと。
お父さんに自転車の乗り方を教えてもらったこと。
お母さんに「大丈夫だよ」と言ってもらったこと。
そんな「やさしさ」も、人から人へと受け継がれていきます。
子どものころ、おじいちゃんにやさしくしてもらった人が、大人になって自分の子どもにやさしくする。
すると、おじいちゃんからもらったやさしさは、その人が亡くなった後も続いていることになります。
人は、目に見えるものだけでつながっているわけではないのですね。
ご先祖さまって誰のこと?
「ご先祖さま」と聞くと、昔の着物を着た知らない人を想像する子もいるかもしれません。
でも、ご先祖さまはもっと身近な存在です。
自分のお父さんとお母さん。
そのお父さんとお母さん。
さらに、そのお父さんとお母さん。
ずっと昔までつながっている「自分につながる家族」が、ご先祖さまです。
小学生に説明するなら、
「あなたにつながっている、昔の家族の人たちだよ」
と伝えると分かりやすいでしょう。
命は「バトン」のようにつながっている
運動会のリレーを思い浮かべてみましょう。
前の人が走ってきて、次の人にバトンを渡します。
受け取った人は一生懸命走り、また次の人へ渡します。
命も、少し似ています。
おじいちゃん、おばあちゃん。
そのまたおじいちゃん、おばあちゃん。
もっと前のおじいちゃん、おばあちゃん。
たくさんの人たちがいて、命がつながって、今の自分がいます。
つまり私たちは今、
「命のバトン」
を受け取って生きているのです。
お盆は、そのバトンを渡してくれた人たちを思い出す日でもあります。
お盆は怖い行事ではありません
「お盆には亡くなった人が帰ってくるよ」
と聞くと、
「幽霊が来るの?」
「怖い!」
と思う子どももいるでしょう。
でも、お盆でお迎えするのは、怖い「おばけ」として考えるより、
自分たちを大切にしてくれた家族やご先祖さま
と考えてみてください。
もし、大好きなおばあちゃんが遠くに住んでいて、一年に一度だけ遊びに来るとしたらどうでしょう。
「まだかな?」
と楽しみに待ちますよね。
部屋をきれいにしたり、好きな食べ物を用意したりするかもしれません。
お盆も、それに少し似ています。
だから提灯のあかりは、怖いものを呼ぶあかりではありません。
「おかえりなさい」と大切な人を迎える、やさしいあかりなのです。
会えなくなった人にも話しかけていい
亡くなった人とは、以前のように会話をすることはできません。
でも、お仏壇やお墓の前で話しかける方はたくさんいます。
「今日、こんなことがあったよ」
「学校で100点取ったよ」
「部活の試合に勝ったよ」
「新しい仕事を始めたよ」
「家族が増えたよ」
うれしい報告だけではありません。
「今日は失敗しちゃった」
「ちょっと疲れたよ」
「どうしたらいいと思う?」
そんな話をすることもあります。
返事は聞こえないかもしれません。
でも、
「あの人だったら、何と言ってくれるだろう」
と考えることがあります。
すると不思議と、昔言われた言葉を思い出すことがあります。
亡くなった人との関係は、姿が見えなくなった瞬間に、すべて消えてしまうものではないのかもしれません。
お盆は「思い出を話す日」にしてもいい
お盆には、ぜひ子どもや孫に故人のお話をしてあげてください。
難しい話でなくて構いません。
「おじいちゃんは釣りが大好きだったんだよ」
「おばあちゃんは、とっても足が速かったんだよ」
「ひいおじいちゃんは甘いものが大好きだったんだ」
そんな話で十分です。
できれば、写真も一緒に見てみましょう。
「この人が、ひいおばあちゃんだよ」
「あなたが赤ちゃんのころ、こんなに抱っこしてくれたんだよ」
と話してみてください。
子どもにとっては、会った記憶のない人かもしれません。
でも、家族から何度も話を聞くことで、
「知らない人」だったご先祖さまが、
「自分につながっている人」
へと変わっていきます。
それも、お盆の大切な役割ではないでしょうか。
新盆は、悲しいだけのお盆ではありません
新盆を迎えるご家族の中には、まだ深い悲しみの中にいる方もいらっしゃいます。
提灯を組み立てていたら、急に涙が出てきた。
好きだった食べ物を見つけて、思い出した。
写真を見たら、声まで思い出した。
そんなこともあるでしょう。
無理に明るく振る舞う必要はありません。
「寂しいな」
「会いたいな」
と思うことも、大切な人を想っているからこその気持ちです。
でも、お盆は悲しいだけの行事でもありません。
故人との楽しかった思い出を話して、家族みんなで笑ってもよいのです。
「お父さん、こんな失敗したことあったよね」
「おばあちゃん、このお菓子をいつも隠して食べてたね」
そんな話をして、みんなで笑う。
それも、とても温かい供養だと思います。
「忘れない」という供養
「供養」と聞くと、難しいことのように感じるかもしれません。
もちろん、お寺でお経をあげていただいたり、お墓参りをしたりすることは大切です。
でも、もっと身近なところにも、故人を想う時間があります。
好きだった食べ物をお供えする。
写真を見る。
思い出話をする。
「ありがとう」と手を合わせる。
教えてもらった料理を作る。
その人が大切にしていたことを、自分も大切にする。
それも、故人とのつながりを感じる時間になります。
忘れないということは、毎日悲しみ続けることではありません。
普段は元気に暮らしていていいのです。
たくさん笑っていい。
旅行に行っていい。
新しいことを始めていい。
そして夏が来たら、
「今年もお盆だね」
と提灯を出す。
そんなつながり方も、とても自然なものではないでしょうか。
提灯は、亡くなった人だけを照らしているのではありません
新盆提灯は、故人が迷わず帰ってこられるための目印とされています。
でも、提灯のあかりを見つめていると、もう一つの役割があるようにも感じます。
提灯を出す。
組み立てる。
あかりを灯す。
すると、忘れていた思い出がふっとよみがえります。
「この時期になると、お父さんはいつも庭の草取りをしていたな」
「おばあちゃんは、この花が好きだったな」
「あの人は、夏になると必ず冷たい麦茶を作ってくれたな」
提灯のあかりによって、私たちの心の中にある思い出まで照らされていく。
そう考えると、新盆提灯は、
故人の帰り道を照らすと同時に、生きている私たちの心も照らしてくれるあかり
なのかもしれません。
新盆提灯を選ぶときは、分からなくて当たり前です
初めて新盆を迎えると、
「何を買えばいいの?」
「白提灯だけでいいの?」
「どのくらいの大きさがいいの?」
「うちはマンションだけど大丈夫?」
「いつまでに準備すればいいの?」
と、たくさんの疑問が出てきます。
でも、新盆は一度しかありません。
初めてなのですから、分からなくて当然です。
私たち仏具店は、仏具を販売するだけではなく、
「それぞれのご家庭に合ったお迎えの仕方を一緒に考えること」
も大切な仕事だと考えています。
新盆提灯をお探しの方へ
新盆提灯には、昔ながらの白提灯をはじめ、現在の住宅事情に合わせた飾りやすいものなど、さまざまな種類があります。
「どれを選べばいいのか分からない」
という場合には、まず次のことをお聞かせください。
・新盆を迎える地域
・一戸建てかマンションか
・提灯を飾りたい場所
・お仏壇の大きさ
・ご希望の提灯の大きさ
これだけでも、選びやすくなります。
高価なものや大きなものが、必ずしも一番よいわけではありません。
大切なのは、ご家庭で無理なく飾ることができ、
「今年のお盆は、このあかりでお迎えしよう」
と思えるものを選ぶことです。
分からないことがありましたら、どうぞお気軽に仏具店へご相談ください。
新盆提灯は、故人と家族をつなぐ「心のあかり」
新盆の白提灯。
それは、故人にとって一度きりの「初めてのお盆」に灯す、特別なあかりです。
「迷わず帰ってきてくださいね」
「ここがあなたのお家ですよ」
「みんな待っていますよ」
そんな思いを込めて灯します。
でも、そのあかりが照らすものは、帰り道だけではありません。
残された家族の心の中にある、
「ありがとう」
「会いたい」
「覚えているよ」
という気持ちも照らしてくれます。
人は亡くなると、その姿を見ることができなくなります。
でも、その人からもらったものまで、すべてなくなるわけではありません。
教えてもらったこと。
一緒に笑ったこと。
叱ってもらったこと。
作ってもらった料理。
手をつないでもらったこと。
名前を呼んでもらったこと。
そして、たくさんのやさしさ。
それらは、残された人の中に生き続けていきます。
さらに、そのやさしさは次の世代へ渡っていきます。
おじいちゃんから、お父さんへ。
お父さんから、子どもへ。
おばあちゃんから、お母さんへ。
お母さんから、子どもへ。
昔の家族から、今の家族へ。
そして、今の家族から未来の家族へ。
そうやって、命と想いはつながっていきます。
今年のお盆、提灯を囲んで家族の話をしてみませんか?
夕方になって、夏の空が少しずつ暗くなっていきます。
蝉の声が遠くなり、提灯にぽっとあかりが灯ります。
そのとき、お子さんやお孫さんがそばにいたら、ぜひ一緒に提灯を見てみてください。
そして、
「この提灯はね、帰ってくるおじいちゃんが迷わないように灯しているんだよ」
と話してあげてください。
それから、故人のお話を一つ聞かせてあげてください。
「おじいちゃんはね、こんな人だったんだよ」
「おばあちゃんはね、あなたが赤ちゃんのころ、こんなにかわいがってくれたんだよ」
それだけで十分です。
そうして語られた家族の思い出は、また次の世代へ受け継がれていきます。
「おかえりなさい」を伝えるお盆に
新盆を迎えるとき、
「正しく準備できているだろうか」
と心配になることもあるでしょう。
もちろん、地域や宗派の習慣を大切にすることは必要です。
しかし、形だけに一生懸命になって、大切な人を想う時間がなくなってしまったら、少し寂しいですよね。
提灯を灯したら、ほんの少しだけ、そのあかりを眺めてみてください。
そして心の中で、
「おかえりなさい」
と声をかけてみてください。
「みんな元気にしていますよ」
「今年も夏が来ましたよ」
「あなたのことを覚えていますよ」
「ありがとう」
と。
そして、お盆が終わるときには、
「またね」
と見送ります。
新盆提灯は、一度きりの特別な提灯です。
だからこそ、そのあかりと一緒に過ごす時間を、大切にしていただきたいと思います。
亡くなった人と、今を生きている人。
過去の家族と、今の家族。
そして、今の家族と、これから生まれてくる未来の家族。
そのすべてをつないでいるのが「命」です。
新盆提灯は、その目には見えないつながりを、夏の夜にそっと見せてくれるものなのかもしれません。
「おかえりなさい。」
「今年も会えてうれしいよ。」
「みんな元気にしています。」
そして、
「またね。」
夏の夜に灯る新盆提灯。
それは故人のための目印であると同時に、
大切な人と今を生きる家族をつなぐ「心のあかり」なのです。

